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旅行 — Journal

駅そのものが美術館。ストックホルム地下鉄が世界一美しいと言われる理由

4 min read by maroke

旅先で「地下鉄に乗るのが楽しみ」と感じることは、あまり多くありません。けれど、ストックホルムだけは別でした。ここの地下鉄は、駅そのものが芸術作品。世界で最も長いアートギャラリーとも呼ばれる、特別な空間なのです。

ただ移動するだけのはずが、一駅ごとに違う世界が広がっていて、つい何度も途中下車してしまう。今回は、世界一美しいと言われるストックホルム地下鉄の魅力をお伝えします。

100駅以上の、地下美術館

ストックホルムの地下鉄、通称トゥンネルバナは、総路線距離が100kmを超え、駅の数は100を上回ります。そのうち、約90もの駅にアート作品が設置されているのが、最大の特徴です。壁画、彫刻、モザイク、色彩の演出。どの駅で降りても、まったく違う世界観が広がっています。

乗り換えのたびに「ちょっとここで降りてみよう」となってしまう、危険な路線。これだけの規模を、きちんと都市計画として実現してきたという事実に、まず驚かされます。

中央駅は森、別の駅は洞窟

特に有名なのが、中央駅(T-Centralen)です。駅全体が青と白で塗られた巨大な洞窟のようになっていて、まるで童話の中に迷い込んだ気分。壁には木の枝が描かれていて、地上に上がる前から「森の中にいる」ような感覚に包まれます。

ほかにも、北欧の森を表現した赤と緑の駅、青空と虹が描かれた明るい駅、地下深くにある古代遺跡のような廃墟風の駅など、個性的な駅が続きます。一駅ずつ全部違う。この多様さこそが、ストックホルム地下鉄の真骨頂です。

ただ移動するだけで、観光になる

ストックホルムでは、わざわざ観光地に出かけなくても、地下鉄に乗るだけで立派な観光体験になります。おすすめは、1日券を買って、有名駅を順番に降りていくという巡り方。1日券は片道券よりずっとお得で、時間さえあれば半日でアートな駅を5〜6駅は回れます。

私も実際にカメラを片手に半日かけて回りましたが、シャッターが止まりませんでした。地下鉄の駅で、こんなに時間を使うことになるとは、想像もしていませんでした。

美しく撮るための、ちょっとしたコツ

地下鉄の駅は暗いことが多いので、写真を撮るには少しコツがいります。壁面全体を入れたいので、広角のレンズが有利。ISO感度は高めでも、最近のカメラなら十分きれいに撮れます。

人が写り込みすぎないよう、ホームの端から撮るのが定番。列車が出発したばかりの、空いたタイミングが狙い目です。うまく撮れた一枚は、間違いなくその旅のベストショットになります。

地上に出ても、ストックホルムは美しい

もちろん、地下鉄だけで終わらせるのはもったいない街です。地上に出れば、ガムラスタンの旧市街、王宮、ヴァーサ号博物館。北欧らしい落ち着いた色彩の街並みが広がっています。

カフェの居心地もよく、コーヒー休憩を意味する「フィーカ」の文化もしっかり根づいていて、歩いて、座って、また歩く、というリズムが心地いい。地下と地上、その両方を楽しめるという意味で、本当にバランスのいい都市でした。

地下鉄旅という、新しい観光のかたち

旅行の楽しみ方は、年々増えています。けれど、ストックホルムの地下鉄ほど「移動そのものを観光にできる」場所は、なかなかありません。入場料のいらない巨大アートギャラリーを、1日券で何度でも降りて回れる。どの駅も世界観が違い、カメラ好きにはたまらない被写体だらけです。

北欧を旅するなら、地下鉄に乗る時間を、ぜひスケジュールに入れてほしいと思います。改札を出る前に、ホームで30分ほど立ち止まってしまうかもしれません。乗り換えのたびに、別の世界へ出る駅がある。そんな街は、世界でもそう多くないはずです。