ニュースで「自動運転車」という言葉を聞く機会は増えました。けれど、実際に“人が運転していない車”に乗る体験は、まだ多くの人にとって未知のものではないでしょうか。今回は、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスで実際に商用運行している自動運転タクシー「Waymo(ウェイモ)」に乗り、ハリウッドからサンタモニカまで移動してきました。運転席に誰もいない車での約1時間は、まさに「未来の移動」を先取りする体験でした。
ロサンゼルスで、すでに始まっている自動運転タクシー

今回訪れたのは、アメリカ西海岸の中心都市ロサンゼルス。ここでは、Google系企業が開発している自動運転サービス「Waymo」が、実証実験ではなく実際の商用サービスとして街を走っています。日本ではまだ実験段階の技術が、すでに日常の移動手段として根付いているのです。
利用方法はとてもシンプルで、スマートフォンのアプリでタクシーを呼ぶと、無人の車が指定した場所まで迎えに来てくれます。車が到着すると自動でドアロックが解除され、そのまま乗り込むことができます。車体の上部には予約した乗客のイニシャルが表示されているので、「これが自分の呼んだ車だ」とすぐに分かる仕組みになっていました。配車から乗車まで、人を介さずに完結するスムーズさに、まず驚かされます。
乗り込んでまず驚く、無人の運転席
車内に乗り込んで最初に目に飛び込んでくるのが、運転席です。当然ながら、そこには誰もいません。ハンドルはあるものの、人が握ることはなく、すべての操作を車が自動で行います。
ドアを閉めて画面の出発ボタンを押すと、車はゆっくりと走り出します。「運転手がいないのに車が動いている」という光景は、頭では理解していても、実際に体験するとかなり不思議な感覚でした。最初の数分は緊張しますが、走り出してしまえば、その滑らかさに次第に身を委ねられるようになります。
車内モニターに映る、“車の目”が見ているもの
Waymoの車内には大きなモニターが設置されていて、車がどのように周囲の環境を認識しているのかがリアルタイムで表示されます。周囲の車、対向車、歩行者、信号、車線などが立体的に描き出され、車が常に状況を把握しながら走っていることが一目で分かります。
横を走る車や、道を渡ろうとする歩行者までもが画面上にきちんと表示され、それらを認識して判断しながら走行している様子を眺められるのは、自動運転ならではの面白さ。自分が「機械の目線」で世界を見ているような、新鮮な体験でした。
驚くほど慎重で、丁寧な運転

実際に乗ってみて強く感じたのは、Waymoの運転が非常に慎重だということです。車線変更のときはかなり早めにウィンカーを出し、周囲の安全を確認してからゆっくりと動きます。信号で止まるときも、手前から余裕をもって減速を始めるので、急ブレーキのような荒い動きはほとんどありません。
アメリカでは運転が荒いドライバーも多いと言われますが、Waymoの運転はそれとは対照的で、終始落ち着いた安全運転。「人間より丁寧かもしれない」と思えるほどでした。
車両はジャガーがベース。360度を見渡すセンサー群
Waymoで使われている車両は、イギリスの自動車メーカー「ジャガー」の車がベースになっています。車体には多くのセンサーやカメラ、レーザーセンサー(LiDAR)が搭載されていて、周囲の環境を360度認識できるようになっています。
これらのセンサーによって、車は道路状況や周囲の車、歩行者の動きをリアルタイムで把握し、安全に走行します。屋根の上の回転するセンサーなど、見た目にも“未来の車”らしさがあり、街を走る姿そのものが印象的でした。
ハリウッドからサンタモニカまで、約1時間の自動運転ドライブ
今回の移動ルートは、ハリウッドからサンタモニカまで。車内の画面には目的地までのルートや到着予定時間が表示され、今回の所要時間はおよそ58分ほどでした。運転席に誰もいない状態で、約1時間のドライブを完全自動運転で移動する。この一連の体験は、まさに未来の交通を先取りしているような感覚でした。
日本でも始まりつつある自動運転
現在、Waymoはロサンゼルスをはじめとするアメリカの都市で商用運行を行っています。一方、日本でも自動運転の実証実験が進んでおり、2025年から東京で自動運転タクシーの試験運行がスタートしています。

ただし日本では、まだ安全のために人が乗った状態での運行が中心で、完全な無人タクシーは導入されていません。とはいえ、今回ロサンゼルスで体験したような完全自動運転のタクシーが、日本でも当たり前に走る日が来るのは、そう遠くないのかもしれません。実際、日本国内で訓練を行うWaymoの車両も見かけるようになってきました。
未来の移動が、すでに動き出している
今回Waymoに乗ってみて感じたのは、「未来の交通は、もう始まっている」ということでした。運転席に誰もいない車が街中を走り、人を目的地まで安全に運んでいく。数年前までSFの世界だったものが、いま実際のサービスとして動いています。ロサンゼルスを訪れる機会があれば、ぜひ一度この自動運転タクシーを体験してみてください。きっと、これからの移動の未来を肌で実感できるはずです。