旅行 — Journal

ブリスベンは子連れ旅行にかなり良かった。4歳児と6泊してわかった街の魅力

著者 maroke

目次
  1. 6泊して最初に感じたのは、“子どもの居場所”が街の中に多いこと
  2. 州立図書館が、観光中の“最強の休憩場所”になった
  3. GOMAは“見る美術館”ではなく、4歳でも参加できる美術館だった
  4. 都会なのに、緑と大きな遊具がすぐ日常に入ってくる
  5. 50セントで街から森へ。公共交通の安さは子連れ旅行と相性がいい
  6. 4歳児が気に入ったのは、観光名所だけではない。“カタカタ鳴る信号”も旅の記憶になる
  7. 一方で、“予定を詰め込む旅”をしたい家族には向かないかもしれない
  8. 4歳と6泊して、ブリスベンは“暮らすように遊べる街”だと思った

子連れの海外旅行では、どうしても「子どもが退屈しないか」を先に考えます。大人が見たい観光地がたくさんあっても、4歳の子どもにとって楽しいとは限りません。ところがブリスベンで6泊してみると、その心配はかなり早い段階でなくなりました。街の中に、子どもが自然に参加できる場所がとても多かったからです。

州立図書館には遊びと学びが混ざった子ども向けスペースがあり、すぐ隣の現代美術館では作品を見るだけではなく、自分で手を動かしてアートに参加できます。街には大きな公園と緑があり、少しバスに乗れば湖と森の世界まで行ける。それでいて公共交通は驚くほど安い。今回は、4歳の娘と実際に6泊して感じた「ブリスベンが子連れ旅行に向いている理由」を、私たちの体験を中心にご紹介します。

6泊して最初に感じたのは、“子どもの居場所”が街の中に多いこと

ブリスベンで過ごしていて印象的だったのは、子どものためだけのテーマパークへ行かなくても、一日の中に自然と子どもの時間を組み込めることでした。

私たちはサウスブリスベンに滞在しました。サウスバンクには遊具があり、人工ビーチの周りを歩くだけでも景色が変わります。川沿いを散歩し、少し遊具で遊び、大人はビールや食事を楽しむ。旅行中の「大人の時間」と「子どもの時間」をわざわざ分けなくてよいのが、とても楽でした。

別の日に立ち寄ったNew Farm Parkも強く印象に残っています。予定していた場所ではなく、フェリーの途中で降りてみただけでしたが、大きな遊具があり、娘はかなり長い時間遊んでいました。観光名所を一つ消化するというより、街そのものの中に遊ぶ場所が点在している感覚です。

子どもが疲れたら公園、大人が休みたければカフェ、また歩けそうなら川沿いへ。予定を細かく組まなくても一日が成立する。この“余白の作りやすさ”は、4歳児との旅行ではかなり大きな魅力でした。

州立図書館が、観光中の“最強の休憩場所”になった

今回の滞在で予想以上によかったのが、State Library of Queensland、クイーンズランド州立図書館でした。私たちは一度だけではなく、別の日にももう一度訪れています。それくらい娘が気に入りました。

館内には「The Corner」という0〜8歳の子どもと家族向けのスペースがあります。本を静かに読むだけの図書館を想像して入ると、かなり印象が違います。絵本を楽しめる場所だけでなく、大きなブロック、アートスタジオ、遊びのスペース、庭につながる場所などが用意されていて、子どもが自分から動きたくなる空間になっています。

公式には毎日のPlay timeやSongs and storiesなども行われていて、通常のドロップイン利用は無料です。旅行者でも「今日は子ども向けイベントに参加してみよう」と気軽に入れるのがいいところ。特別な予約をしていなくても、その場に行けば何かできる可能性があるのは助かります。

そして立地も便利です。サウスバンク側のQueensland Cultural Centreにあり、GOMAやクイーンズランド博物館も同じエリアに集まっています。私たちのようにサウスブリスベンに泊まれば徒歩で行ける距離で、天気が崩れた日や、子どもが少し疲れた午後にも使いやすい場所でした。

GOMAは“見る美術館”ではなく、4歳でも参加できる美術館だった

州立図書館から歩いて行けるGallery of Modern Art、通称GOMAも、子連れでかなり楽しめました。現代美術館というと、大人が静かに作品を見る場所という印象があるかもしれません。でも、ここにはChildren’s Art Centreがあり、子ども向けの展示や参加型のアクティビティがしっかり用意されています。

私たちが訪れたときも、娘は人の形を使った塗り絵やアートに参加しました。作品を「見る」だけではなく、自分で色を付けたり、考えたり、手を動かしたりする。4歳でも美術館の中で自分のやることがあるので、大人だけが楽しんで子どもが待つ時間になりませんでした。

QAGOMAでは、3〜5歳向けのArt Explorersをはじめ、年齢別の子ども向けプログラムも実施されています。Children’s Art Centreへの入場は無料で、通常のQAGOMA入館も無料です。一部の特別展やイベントは有料ですが、家族旅行中に「少し寄ってみよう」ができるハードルの低さがあります。

図書館と現代美術館が隣り合い、その周辺に博物館まである。しかも子どもが単なる同伴者ではなく、それぞれの施設で“参加者”になれる。この文化施設の作り方は、ブリスベンの子連れ旅行の大きな強みだと感じました。

都会なのに、緑と大きな遊具がすぐ日常に入ってくる

ブリスベンは高層ビルのある都市ですが、歩いていると意外なほど緑が多く感じます。サウスバンクの川沿い、City Botanic Gardens、New Farm Parkなど、旅行中に「今日は公園を目的地にしよう」と構えなくても緑の中へ入れる場所がありました。

子連れで街を歩くと、大人だけの旅行よりも公園の価値がよく分かります。娘にとっては、有名な建築物より大きな遊具のほうが圧倒的に魅力的です。一方で大人にとっても、木陰のベンチで休み、コーヒーを飲み、芝生の上を歩く時間が入ることで、旅行全体がせわしなくなりません。

New Farm Parkで見た大規模な遊具は、今回の旅行で娘が夢中になった場所の一つでした。そこへ向かう移動自体もフェリー。川の上を走る船に乗り、公園で遊び、また船で街へ戻る。それだけで4歳児にとっては十分に一つのアトラクションになります。

観光地、移動、公園がバラバラではなく、連続している。ブリスベンは“何かを見るためだけに移動する街”ではなく、その途中まで含めて家族で楽しみやすい街でした。

50セントで街から森へ。公共交通の安さは子連れ旅行と相性がいい

今回かなり驚いたのが公共交通の運賃です。私たちの滞在時、Translinkの対象となるバス、列車、フェリーなどは、距離やゾーンにかかわらず1乗車50豪セントの均一運賃でした。しかも子どもは無料です。私たち家族の場合、4歳の娘は運賃がかからないので、大人2人でバスに乗っても片道合計1豪ドル。これなら「ちょっと行ってみよう」がしやすくなります。

特に印象的だったのがWalkabout Creek Discovery Centreへの日帰りです。CBDから385番のバスでThe Gap方面へ向かい、終点近くから歩いていくと、そこはもうD’Aguilar National Parkの入口。ブリスベン中心部から約12kmしか離れていないのに、湖とユーカリの森が広がっています。

私たちはホテルの近くでパンを買い、バスに乗って向かいました。森の中とEnoggera Reservoirの周りを歩き、湖のそばで持ってきたパンを食べ、家族写真を撮る。大都会に滞在しているはずなのに、その日の午前中には本格的なブッシュの中を歩いていました。

Walkabout Creekから延びるAraucaria trackは全体で5kmありますが、4歳児と一緒なら無理に全部歩く必要はありません。湖畔の好きなところまで歩いて戻るだけでも十分です。こうした自然へのアクセスがレンタカー前提ではなく、路線バスで成立することに驚きました。

なお、50セント運賃はTranslinkの対象サービスに適用されますが、ブリスベン空港と市内を結ぶAirtrainは対象外です。空港移動だけは別料金になるので、そこは切り分けて考えたほうが分かりやすいです。

4歳児が気に入ったのは、観光名所だけではない。“カタカタ鳴る信号”も旅の記憶になる

子どもと旅行していると、大人が予想していなかったものに反応します。ブリスベンで娘が面白がっていたものの一つが、歩行者用信号の押しボタンでした。

交差点で待っていると、押しボタンのあたりから「カタ、カタ、カタ……」という独特の音が聞こえます。日本で普段使っている信号とは音の印象が違うので、子どもにとってはそれだけで新鮮です。信号を渡るたびに、街の小さな仕組みが一つの発見になります。

これは単なる効果音ではなく、クイーンズランド州の信号設備にも採用されるaudio-tactile push-buttonという仕組みです。音と振動によって、視覚に障害のある歩行者などが押しボタンの位置や横断のタイミングを把握しやすくするためのものです。普段はゆっくりした定位用の音があり、横断時には異なる信号音が使われます。

大人にとっては街のアクセシビリティの仕組みですが、4歳児には「面白い音が鳴る信号」。こういう小さな違いを一緒に発見できるのも、子連れ海外旅行の面白さだと思います。

フェリーも同じでした。私たちにとっては移動手段でも、娘にとっては船に乗ること自体がイベントです。ブリスベンは川が街の中心を流れているので、CityCatなどのフェリーを普通の移動として使える。大人の観光と子どもの“乗り物体験”を同時に叶えやすい街です。

一方で、“予定を詰め込む旅”をしたい家族には向かないかもしれない

ブリスベンの良さは、世界的な超大型観光名所が狭い範囲に次々並んでいることではありません。美術館、公園、川、動物、森、街歩きを組み合わせて、ゆっくり過ごすことに強い街です。

そのため、朝から夜まで名所を何か所も回りたい家族や、毎日まったく違う大型アトラクションを求める場合は、少し物足りなく感じるかもしれません。また自然のある郊外へ行くと、中心部ほど公共交通の本数が多くないこともあります。子どもの体力と帰りの時刻を考え、余裕を持って動くほうが楽しめます。

逆に言えば、私たちのように4歳児のペースを優先しながら、「今日は図書館と美術館」「明日は森」「疲れたら公園」という旅をしたい家族には、このゆるやかさがちょうどいい。6泊しても毎日同じことをしている感じはなく、それでいて疲れ切ることもありませんでした。

4歳と6泊して、ブリスベンは“暮らすように遊べる街”だと思った

今回のブリスベン旅行を振り返ると、娘が楽しんだ場所は本当に幅広いものでした。コアラやカンガルーに会ったLone Pine Koala Sanctuary、Bluey’s World、大きな遊具のある公園、州立図書館、GOMA、フェリー、森と湖。そして街角の信号まで。

子ども向け施設だけを巡ったわけではありません。大人は現代美術を見て、地元のビールを飲み、街を歩き、レストランへ行く。その間に子どもが遊べる場所が自然に挟まっているので、家族全員が「誰かに付き合っている」という感覚になりにくかったのだと思います。

私がブリスベンを子連れ旅行先としてかなり良かったと感じる一番の理由は、派手な一つの観光地ではなく、街全体の使いやすさです。文化施設と公園が近く、公共交通が安く、川を船で移動でき、少し足を延ばせば森に入れる。4歳の子どもにとっても、大人にとっても、毎日の中にそれぞれの楽しみを作れました。

子どもが小さいうちは、「どれだけ多くの名所を見られるか」より、「家族みんなが機嫌よく一日を過ごせるか」のほうが旅の満足度を左右します。その意味でブリスベンは、とてもバランスのいい街でした。小さな子どもとのオーストラリア旅行を考えているなら、ぜひ候補に入れてみてください。

政処 裕介
政処 裕介
Yusuke Madokoro

写真や映像を撮りながら世界を旅し、その土地の街並みや人々の日常、旅の中で出会ったものを記録しています。実際に歩き、見て、感じた旅を、自分の言葉と写真で伝えています。「まろけ」は、私の本名「まどころ ゆうすけ」を略した、子どもの頃からの呼び名です。