ロシアの国土は世界一でとても広いのでその分、魅力もたくさんあります。極東ロシアであれば日本から非常に近いので、行こうと考えたことがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、ロシアへの渡航には現在でもビザが必要で、ビザのために何ヶ月も前から滞在先のホテルを予約する必要があったりと、手続きが煩雑です。
ウィキトラベルによると、
新興国として注目を受け、治安も安定していながら、ロシアは個人の自由旅行が困難な国である。その理由は厳格なビザ制度に尽きる。現在、ロシアビザを取得できるのは、原則として旅行者の国籍に属する国を管轄する大使館・領事館に限られている。到着地ビザの概念も無いので、日本を出国する前に交通チケットやホテルも含めて、すべての準備を整えなければならない。日本人が日本国内で手続きをとる場合、観光ビザの手数料は受け取り2週間前までなら無料だ。旅行者自身がプランを立てる場合、出発予定日から逆算して2~3ヶ月前から準備を始めることになる。
観光ビザ取得の条件として、交通費やホテル代など全行程で必要な代金が支払い済みである必要がある。その代金支払い済み証明書が「バウチャー」だ。個人で観光ビザを申請する場合は、インビテーションの代わりにバウチャーを提出することになる。バウチャーの原本は事前に渡されるか、到着地のホテルに届けられる。旅の先々で必要なバウチャーを渡し、サービスを受けることになる。以上、必要な書類を挙げたが、これらは最終的に副本が手元に残るはずである。ロシア国内ではパスポートと共に常に携行しなければならない。なお、専門業者がビザ取得用に発行する「空バウチャー」を使えば、ホテル等の事前予約なしで観光ビザを取得でき、事実上自由な個人旅行が可能となる。ただし、法的には問題のある方法なので、全て自己責任で行うこと。
(http://wikitravel.org/ja/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2#.E7.9D.80.E3.81.8F)
ということです。世界のほとんどの国へビザなし渡航ができる現在では、珍しい国ですね。ビザなし渡航が可能になれば日本から行きたい人はいっぱいいると思うのですが・・・。
今回は、ロシアへビザなしで渡航する方法を紹介したいと思います。実際に僕もこの方法で、ロシアへ入国できました。
この方法は、フィンランド・ヘルシンキ〜ロシア・サンクトペテルブルクを結ぶ「サンクトペテルライン(St.Peter Line)」という夜行船を利用するものです。
サンクトペテルラインの公式ウェブサイトによると、
In accordance to the legislation of Russian Federation (RF Government Resolution №397), foreign tourists and persons without citizenship or relevant visa and/or proper permission travelling on ferries may arrive to the Russian Federation without Russian visa for the period of 72 hours being part of organised excursion group. VISA-Free journey can lasts up to 3 days. According to the law a passenger must arrive at the port of St. Petersburg aboard a ferry of SТ PETER LINE Company and leave in the same manner, be part of organised excursion group (“Car Shorex” in this case) and comply with the rule of no longer than 72-hour stay. 72 hours period begins for the moment of crossing border control.
(http://www.stpeterline.com/en/goodtoknow/visafreerule.aspx)
つまり、フェリーで渡航して、グループという形で入国すると3日間はビザが不要であるというロシアの法律を利用するものだということです。
さっそく、サンクトペテルラインのウェブサイトでフィンランド・ヘルシンキからロシア・サンクトペテルブルクまでの船を予約してみました。
予約はサンクトペテルラインのウェブサイトから、ヘルシンキ〜サンクトペテルブルクを指定して、72時間以内に出国する日程で予約します。ビザ無し渡航のためには往復券の予約が必要です。
船の客席にはいろいろな種類があるのですが、今回は二人で旅行したので、ツインの2人部屋にしてみました。
そして旅行当日。ヘルシンキの港にやってきました。ここで注意してほしいのが、出発する港が「ヘルシンキ西港」であること。ヘルシンキ港とは別のところです。ヘルシンキ中央駅から9番トラムで直接行くことができます。
港につくと、上のような案内標識がでていて、サンクトペテルブルクゆきのチェックインカウンターがありました。
チェックインカウンターには結構たくさんの外国人が並んでいました。みんなビザなし入国をするためにこの船で行くんですね。
パスポートのチェックをして、Eチケットを乗船カードに交換してもらいました。
チェックインと同時にロシアの入国カードももらえました。
このカードにパスポート番号などを記入して、入国審査のときに提出します。カードは帰国時の出国カードと一緒になっているので、帰りまでなくさないようにしないといけません。
そしていよいよサンクトペテルラインに乗船。
非常に大きな船です。一気に乗船するので、結構並んでいました。
カフェやレストランも各階にたくさんありました。ロシア語・フィンランド語・英語でのアナウンスが流れ、出発です。
サンクトペテルブルクとヘルシンキ間はそんなに距離がないのですが、夜行船のため一晩かけて移動します。
国境を超える船のため、船内にカジノもありました。
デッキに出てみて、この風景に感動。3月なのに気温はマイナス16度しかなく、海は完全に凍っています。氷を割りながら進んでいくようです。
夜発ということで、夕食は船内のレストランでいただきました。値段もそれほど高くなく、おいしかったです。
そして夜。今日は早めに寝ました。
まったく揺れることもなく、静かだったのでぐっすり寝ることができました。このあと話したロシア人のおじさんによれば、日によっては波が高く、少し揺れる日もあるみたいです。
翌朝。サンクトペテルブルクの近くまで来ていました。そしてまたデッキへ出て驚き。
ヘルシンキ周辺よりも寒く、海は完全に凍っています。
いやぁ、おそロシア。
到着30分ほど前になると一気にみんなが出口付近に集まるので、早めに準備をしておいたほうがいいと思います。
そして、いよいよロシア入国。
旅行の期間などを聞かれるだけで、簡単に入国ができました。この船で来ていることがわかるので、入国審査もすぐに終わるようです。
裏表紙からめくった側の変なところにロシアの入国スタンプを押されてしまいました。
パスポートを増補しているので、「S-40」ページです。
そしていよいよ市内へ。
ビザなし渡航の条件に、「グループで入国する」というのがあるため、名目上の「City Bus Tour」と書いてありますが、実際には市内中心部まで送迎してくれ、そこからは自由行動です。
3日後の指定の時間に同じ所までいけば迎えに来てくれるというしくみです。
ロシアへビザなし渡航できるのは、おそらくこのルートのみだと思うので、みなさんもぜひ行ってみてはいかがでしょうか。